fusen〔 色彩を持たない多崎つくる〕 - 村上 春樹

限定された目的は人生を簡潔にする
枠をいちいち恐れることはないけど、枠を壊すことを恐れてもならない。
人の心と人の心は調和だけで結びついているのではない。それはむしろ傷と傷によって深く結びついているのだ。痛みと痛みによって、脆さと脆さによって繫がっているのだ。悲痛な叫びを含まない静けさはなく、血を地面に流さない赦しはなく、痛切な喪失を通り抜けない受容はない。それが真の調和の根底にあるものなのだ。
怯えやつまらないプライドのために、大事な人を失ったりしちゃいけない
 
fusenToru I.